一次元フォノニック結晶における弾性波のトポロジカル局在状態
物性科学の分野ではバンドトポロジーの概念を活用して新しい材料や物質相が多く見出されており、その応用を目指した研究が進んでいます。この概念を周期構造中の光や音波、弾性波に適用し、その物理を探索するとともに新たな機能を実現しようとする試みが注目されています。我々はフォトニック結晶やフォノニック結晶を用いて光や弾性波のトポロジカル状態の実現とその応用を目指した研究を進めています。
本研究では、同じ完全フォノニックバンドギャップを持つものの、そのバンドトポロジーが異なる2つの1次元フォノニック結晶を設計し、その界面に現れる弾性波のトポロジカル局在状態の観測に成功しました。試料は石英ガラスを超音波掘削加工技術により作製したもので、局在状態の周波数は約200kHzでした。また、光弾性効果を利用して局在状態の空間分布のイメージングにも成功しました。この成果は、Appl. Phys. Expressに掲載され、Spotlight論文の一つに選ばれました。